【楽曲分析】心臓を刹那に揺らす「感電」の曲作りの魅力【米津玄師】

楽曲分析

僕ら世代の人間は多かれ少なかれボカロを聴いて育ったわけですけども、元ボカロPでここまで知名度をあげた人もなかなかいないでしょう。
米津さんは元々「ハチ」として当時からとても人気の方でしたが、活動する舞台が変わってもしっかり評価されるのは本当に実力を持ったクリエイターである証明なのでしょう。

今回はそんなハチもとい米津玄師さんの「感電」の楽曲分析をしていきます!

楽曲はこちらから

イントロ

この曲は全体通してシャッフルのハネたリズムになっています。
シャッフルというのは2つの連続した音符の初めの音符の長さを長めにとり、ふたつめの音符を短くするようなリズムのことです。

シャッフルのリズム
この曲は16分ハネなのでこっち

ブルースやカントリーなどで使われることが多いリズムです。
スキップしてる様な感じだからハネたリズムって表現されます。

ゆっくりとしたテンポでこのシャッフルのリズムを使うとちょっと気だるい感じがして良いですよね!

コードの最初4つは椎名林檎進行(IV→III7→VIm→I7)っぽいですね。
IVが同じサブドミナントのIImになってます。

#IVm7(♭5)…すごいコード来たな…って思う方もいそうですが、実はこれ割とよく使うコードで、IM7(トニック) or IVM7(サブドミナント)の代理コードです。
構成音が似ているので代理として使えるんですね。

E#m7(♭5)=Fm7(♭5) 異名同音です
構成音わかりやすくするために書き換えてます。

#IVm7(♭5)→IVM7っていうのもよくある進行。
ルートが半音下降するだけなので使いやすい。

Vm7→I7はIVへのII-Vなので進行感が強い。
ですが行き着く先は#IVm7(♭5)…?
いいえ、実はこの進行のゴールは更にその先のIVM7なのです。

普通にIVM7に行く前に#IVm7(♭5)を挟むことでトニックへの解決を先延ばしにしています

そしてマイナーキーのII-V(VIIm7-5 III7)という流れ。

アレンジについては楽器以外の音がたくさん入っていておもちゃ箱みたいで聴いてて楽しい。

Aメロ

コード進行はイントロとほぼ同じ。

最後のコード(VI7)はBメロの最初のコード(IIm7)へのドミナントとして出てきて進行感強めてます。
ちなみに、その前のコード(III7)もVI7へのドミナントになっているので〜(以下略)

メロディの裏にアクセントがあって歌うの難しそう…。
だが、その裏のアクセントが心地よい…!

メロディは裏にアクセントあるけどコードチェンジは普通に頭でされています。
先取音、掛留音的なものを上手に使ったメロディライティング!

Bメロ

イントロやAメロとほぼ同じですが、2まわし目のVImから細かくコードが動きます。

VIm7から平行移動のコード(♭VIm7)を挟んでVm7へ。
平行移動コードは全ての音が半音ずつ変わるだけなのでギターは演奏しやすいです。

その後はIVへのII-V挟んでから
IIIm→♭IIIdim7→IIm7→♭II7→IM7
とベースが半音で下降していく。
♭IIIdim7はパッシングディミニッシュ
♭II7は裏コード(IM7へのドミナント)
どちらもジャジーですな…。

メロディも2まわし目のコードが変わる位置でメロディのモチーフが若干変化してます。

この3音(休符も含む?)がBメロのモチーフ
2まわし目のコードが変わる位置でメロディも変化している

今まで頭が休符だったのに、2まわし目は頭からはあるメロディライティングめちゃくちゃセンスある。
普通に歌うの難しいだろこれ…!
ここ、息継ぎ注意です。

そして、歌詞バキバキに韻踏んでてわろた。

韻を踏むというのは母音が同じということ

歌詞は「きょう(OU)だい」「どうかしよう(OU)」ですが
歌い方的には「きょー(O)だい」「どうかしよー(O)」になってます。
(OUだったとしても韻踏めてますけども)

ポップスでも韻が踏めてると聴いてて心地よいですね。

そしてサビ前のブラスセクションのフレーズは一番最初のイントロに入る前に鳴ってましたね。
ここで伏線回収!

サビ

頭2小節は四度進行で全部に7thが付いている。
II7はダブルドミナントですね。グッとくる…!

その後に#IVm7(♭5)→IVM7のよくあるやつからのマイナーキー(VIm)へのドミナントモーション。
メロディもマイナーキーの導音であるを鳴らしていて、ここだけ暗さを出している。

このセカンダリードミナント(II7)のところでメロディの頂点持ってきてるのも“わかってる”って感じ。

揚げ足とるわけじゃないですが「このきらめきを〜」の”き”のリズムがスウィングになってない気がする…(普通の16分)
まさかリズム間違えて走っちゃってる…!?
ここだけスクエアになる理由がわからんし…
わざとならいいんだけども、逆に難しくね?

サビ後半

コードチェンジ細かくして動きをつけた後、元に戻って相対的な緩急をつけてます。
歌メロも細かく動いてますね!

ど頭で地味に王道進行(IV→V→IIIm→VIm)持って
最後の方はVImに落ち着かせるためにベースを順次下降させてます。
歌メロの音符もちょっと長め。

間奏

単純に半分の長さのイントロになっています。

2A

前半エレピとドラムのカウントのみという大胆な抜きアレンジ。
後半にはトイピアノのも入ってきておもちゃ箱感がすごい。

ほぼ同じに見えて一箇所だけコードが違う。♭VII6(9)というコード!

♭VIIミクソリディアンからの借用和音、もしくは平行短調のG#のフリジアンからの借用和音(♭II)かと。(僕は全ての曲をメジャーキーとして分析するので♭VIIと書いています)

ただ、♭VII6(9)というテンションが付いているのが気になりますね。

ジャズの世界だと割と○6(9)というコードは頻出するようです。
基本形で弾くと音がすごく密集してしまうので、ルートはベースに任せ、コード楽器は第一転回形でルートと5thを省略した状態で弾くと、各音が完全4度の均一な間隔になるので美しく響きます。

きれいな積み方

2B

1番と同じ。

1番ほどではないがここもまあまあ韻踏んでる。

2サビ

ここも1番と同じ。歌詞は違う。

一つの音符に一単語当てはめる洋楽的な作詞はもちろんですが、しゃくりありきのメロディだったりして、ちゃんと歌ってメロディ作ってるなぁって感じの曲ですね。
「たった一瞬の”ぉ”〜」とか。

なに当たり前の事言ってんだ!って感じですけど、歌わないで歌メロ作る作曲家結構いるんですよね。

それが良いとか悪いとかじゃなくて自然な良い歌メロって歌を歌わない人(歌えない人)は本当の意味で歌モノを作れないんじゃないかなぁ…と個人的に思います。
そうゆう意味ではシンガーソングライターは最強のメロディメイカー。

Dメロ

ここマジでやばい。調性感が…!

いろいろな解釈があると思いますが、前半2小節はKey C#に部分転調してます。
最初のG#7は普通にV7(セクションのど頭でV7持ってくる!?って気持ち)
それ以降のコードはなんなんじゃい!って感じですが
♭VIIm7も♭III7も♭VIM7はフリジアンからの借用和音と考えられるでしょう。

コード進行だけ見ると、Key Aっぽいですがメロディは
C#メジャースケール
C#フリジアンスケール
を使用しています。

後半2小節はKey G#mに戻り、G#メロディックマイナースケールを使用してます。

2まわし目の後半は普通にG#ナチュラルマイナースケールですね。

サビもこのセクションもトニックのVImで終始するので転調の行き来がしやすい。

そしてこの8小節間で12音全部使われている…!
半音だらけだからこのおどろおどろしい雰囲気が出ているのでしょうか…。

ラスサビ

ラスサビなので前半を2回繰り返します。最後の盛り上げ!

繰り返したサビではラスサビなのでメロディがより高く変化してますね!
そしてやはりメロディ変わってもセカンダリードミナント(II7)のところにサビの最高音が来てます。流石。

サビ後半もメロディが変化してます。ラストなんでね。

まとめ

  • スローテンポのシャッフルで気だるい感じに
  • #IVm7(♭5)→IVM7の代理コードを使った定番進行
  • 裏でアクセントを取るメロディ
  • 非和声音を上手に使ってコードとメロディに心地よいズレを作る
  • パッシングディミニッシュ、裏コード、○6(9)のコードでジャズの香り
  • サビのセカンダリードミナントでメロディの頂点を持ってくる
  • 細かいコードチェンジで緩急をつける
  • フリジアンからの借用和音&スケールを使って調性感を崩した不思議な世界へ

とんでもない曲作ってくるな米津玄師…!

どキツイことやってるのにメロディアスで聴きやすいのは流石としか言いようがない。
そもそもの作曲力、音楽力の高さを感じれる曲ですね!

これが新世代のポップス…。

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おしまい。

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